玄米のすすめ

コメとは

稲の原産は熱帯に属するインドとアフリカ西部地方といわれていますが、その栽培の起源は5000年以前に遡る古い作物です。この稲がわが国に伝来されたのは紀元前一世紀、縄文後期から弥生時代初頭の頃とされています。

現在の主産地は日本を含む東南アジアモンスーン地帯ですが、食糧としての需要は小麦についで多く、わが国でも主食としています。

コメの効用

まず第一にコメの効用について考えてみましょう。この作物が古くから、私達の食生活において重要視されていたことは、イネが渡来してきたときに命根(イネ)とか活根(イネ)の字があてられたことからも窺うことができます。

江戸時代から玄米を精白

もともと、コメといえば、玄米のことでした。しかし、江戸時代元禄の頃から、玄米が精白されるようになりました。そのことが一つの原因となって江戸末期から明治にかけて脚気(かっけ)の患者が増加の一途を辿るようになりました。

精米の普及で脚気が増える

いってみれば重要な栄養(特にビタミンB類)を多く含む胚芽の部分を精米することによって削り、肝心な命根(命の元)を捨ててしまっていたわけです。やはりイネを命根または活根と呼ぶには、精米よりも玄米のほうがふさわしいのです。

玄米の魅力

豊富な栄養価

玄米について、中国の古い薬物書である「名医別録」(漢代末)によれば「元気を益し、胸の煩悶する感じや、手足のほてりを止め、喉の渇きを止め、冷えなどによって起こる小水が洩れる様な状態を改善する」と述べています。

また、明の時代の世界的薬物学者である李時珍は「血行をよくし、五臓を調和して、顔色をよくする」といっています。

血液を浄化

要約すれば、玄米はビタミンB類をはじめとして大変栄養価に富んでおり、かつ血液の浄化および血行促進作用があるので、種々の消耗性疾患や日頃元気がなく、顔色の悪いような人の体質改善に適しているのです。

常食すれば肉が不要に?

このように玄米は凝縮した高エネルギーを内に保持しているので、玄米を常食(主食)しているとほとんど肉類を食べる必要がないほどです。そのことは禅僧が一日一椀の玄米で元気旺溢していることでもわかりますし、また冷え症の人や風邪を引きやすい人が、玄米を食べることによってだんだん身体が温ってくることや風邪を引かなくなってくることからも理解できると思います。

玄米を生活に取り入れる方法

玄米は、次のような食べ方、使い方がおすすめです。

(1)常食

とくに疲れやすく顔色の悪い人は、玄米を常食にするとよいです。ただし胃腸の弱い人は夜、とくに寝る前は食べるのを避けた方がよいです。

(2)スープとして食べる

体力が著しく落ちている人や何らかの病気で病院に通っている人、大病後の体力回復には、玄米をそのまま食べることが負担になることがあるので、この場合は玄米スープを作って食ぺるとよいです。

玄米スープの作り方

玄米を少し焦げる程度に妙り、ほんの少量の食塩を味つけ程度に加え、適量の水を加えて煮ます。うすめのおもゆと考えればよいです。液体以外、胃に食物の納まらないような重病人にはうわずみの液を飲ませるようにします。

(3)風邪の予防と初期治療

玄米スープを服用します。少量のひねショウガと、長ネギの白茎部をきざんで入れるといっそう効果的です。

(4)糖尿病

玄米スープを常飲する。糖尿病で口渇(喉の渇き)がはなはだしい時に用いる有名な漢方薬に白虎加人参湯という処方がありますが、この処方中にも玄米が入っていて、ロ渇を和らげる働きをしています。

(5)おできの化膿

赤く腫れて化膿した箇所には、玄米を粉にして、黒くなるまで妙って患部に貼っておくとよいです。

注意~胃熱タイプの人には不向き

玄米は白米に較べて消化が悪いので、就寝前は避けた方がよいです。また胃弱、胃下垂、または口が苦くなったり、舌に白苔や黄苔があったり、口内炎ができやすいような胃熱タイプの人には不向きだと言われています。このようなタイブの人はどちらかといえば麦を白米に混ぜた麦飯の方が適しているようです。